HUNKY DORY
- side-A
- 01. Changes
- 02. Oh! You Pretty Things
- 03. Eight Line Poem
- 04. Life On Mars?
- 05. Kooks
- 06. Quicksand
- side-B
- 07. Fill Your Heart
- 08. Andy Warhol
- 09. Song For Bob Dylan
- 10. Queen Bitch
- 11. The Bewlay Brothers
頽廃(デカダンス)の人工楽園
SF8244
SR61325(US)
UK 1971 Original
71年12月、本格的なプロモーションを実施したRCA/Victorとの契約後初のアルバムとなった本作は全英チャート3位のヒットを記録、同時進行で制作されていた次回作『Ziggy Stardust』ヒットの御膳立てという役割を担った野心作という側面をもっている。
当時のイギリスはキャンプ(女々しい)やキッチュといった言葉が流行し、同性愛やフェティシズムが認容されはじめた頃で、この『Hunky Dory』のグレタ・ガルボを彷彿させるジャケットや観念的な歌詞、そしてバイセクシャルを公言するなどの自己演出で人々の注目を集めた。
『Hunky Dory』の背景は、アンジーとの結婚や息子ゾウイが生まれたことなどプライヴェートの充実が挙げられる。ほかには無名時代からボウイを支えてきたマネージャー、ケネス・ピットと別れて RCA時代を共にするトニー・デフリーズに出会ったこと。これはあまり語られていないことだが、かなり大きな影響を及ぼしているだろう。デフリーズに同行してニューヨークへ渡りウォーホール・ファクトリーを訪問。ルー・リードと知り合うなど、有名人としての振る舞いやアートに刺激される機会を得たのである。デフリーズの「君はスターなんだ」という限りない煽てがあったことは伝記にも書かれており、こういう自覚を植えさせることがメディアを扇動するアーティストの資質をもつボウイを化けさせたのだろう。
以上のような背景とアルバムを構成する要素、ニーチェの超人思想やグラム、NY発のポップアートなどを加味しているのだから、このアルバムを評するのはまったく簡単ではない。
オリジナル・リリースはすでに40年近く前となる。80年代半ばには限定でピクチャー・ヴィニールがリリース。グラム・ロック期の同時期の作品に比べてもリイシューの回数は極端に少ない。30周年記念盤の企画も『Ziggy Stardust』からスタートとなっているし、コレクターを目指すならRCA盤CDやRykoのゴールドCDなども調べてみるとよいだろう。
90年の再発版CDにはデモを含む4曲のボーナス・トラックが収録されているが、現在のデジタル・リマスター盤からはオミットされている。
- S+V (90 Reissue Catalog) Series Bonus Track
- 01. Bombers
- 02. The Supermen
- 03. Quicksand (Demo)
- 04. The Bewlay Brothers (Alternative Mix)